コロナ禍も出勤させる昭和な企業
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■「決まりだから」と言ってしまえば一番ラク
宣言中は、かなりの割合の企業がリモートワークを実施していました。なのに、なぜ全員出社して働くスタイルに戻りつつあるのでしょうか。
満員電車に対しては、感染拡大防止の観点から懸念の声も聞かれます。これを本気でなくそうと思うのなら、引き続きリモートワークを行えばいいだけ。これが実現できない原因としては、主に次の2つが考えられると思います。
ひとつは、定時出社が「当たり前だから」「決まりだから」。これがまかり通るのは、多くの人にとってとても楽な考え方です。もうひとつは、今の社会では「決まりだから仕方ない」「制度が整っていないからできない」と言えば、それで言い訳が成り立ってしまうから。できない理由を聞かれた時、いちいち根拠を挙げなくても、相手を説得できると考えているわけです。
始業時間や就業時間は法律による「決まり」ではありません。日本企業が「その場にいること」を重視する風潮も、あらためて浮き彫りになったと思います。
こうした思い込みや風潮があるにもかかわらず、緊急事態宣言中だけは一時的に満員電車解消されました。これは外出自粛やリモートワーク推奨という、国による「お墨付き」があったからではないでしょうか。各企業が自らの意思で働き方を変えたわけではなく、国の施策だから変えたのです。
自ら働き方を変える場合は、その結果に対して責任が伴います。もし生産性が下がったり顧客が離れたりしたら、決定した人たちはその責任をとるよう求められるでしょう。そんな事態はできる限り避けたい──。こう考える企業も多いと思います。
緊急事態宣言では責任の所在は国にありますから、企業の意思決定者が責任を負う必要はありません。結果、リモートワークはかつてないほどスムーズに実施されることとなり、満員電車も一時的に解消されたのです。
■企業が自ら変わろうとしていないことこそが大問題
タイミングから見て、原因はとても単純で「緊急事態宣言が解除されたから」、つまりお墨付きがなくなったからでしょう。
これは企業が自ら変わろうとはしていない証しであり、僕はこの点こそもっとも大きな問題だと思います。
リモートワークにあたっては、「部下は上司の目が届く場所で働くべき」「目の前にいないから評価できない」と言う上司もいると聞きます。僕からすると、部下との間に、任せる・信頼するという基本的な人間関係ができていないのかなと感じます。以前からずっとあった問題点が、リモートワークになったことであぶり出されただけではないでしょうか。
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