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【第1話】スペイン、ベソの恐怖

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私がスペインに来たのは4年前、ワールドカップでスペインが優勝した数ヶ月後でした。

渡西理由は、前からスペイン語を勉強していたからでも、スペイン文化やサッカーに興味があったからでもなく、たまたま出会って結婚した相手がスペイン人だったからです。

そんな状態でスペインに突然やってきたので、当然ながら、びっくりすること、戸惑うことがたくさんありました。

最初に直面したのが、「ベソ」の習慣。
スペインには「ベソ」という挨拶の習慣があります。これは、私が最初に直面したスペイン文化の戸惑いだったかもしれません。

ベソというのは、スペイン語でキスのこと。スペインでは、プライベートで人に会ったら、ベソをして挨拶をします。

キスと言っても、唇を重ね合う濃厚なキスではもちろんなく、ほっぺたに軽くチュっとするキスです。それも、唇全面をチュ~ッと相手のほっぺたに押し付けるのではなく、イメージとしては、唇の半分を軽く相手のほっぺたに付ける感じです。

傍から見ていると、キスというよりは、ほっぺたを押し付け合っているように見えます。
このベソを、スペインでは両頬に1回ずつ計2回行います。

この回数は国によって違いがあり、例えばオランダでは3回、同じスペイン語を話すメキシコでは1回など、様々です。

ベソをするのは、女性同士、女性から男性へ、男性から女性への3パターンです。男性同士は、今生の別れや数十年ぶりの再会など、よっぽどのことがない限りベソはしません。もししていた場合は、それは多分ゲイです。

このベソを、初対面の時だけならまだしも、プライデートでは常に行うので、正直面倒くさいったらありません。

例えば、友達と外で飲んだ別れ際、「じゃあ、またね。」と言いながらチュチュッとベソをします。
これが、2,3人だけで飲んでいたのなら、まだ良いのですが、5人、10人と大勢で飲んでいた時は、とにかく大変!

一人一人にベソをして、その度におしゃべり好きなスペイン人達は、「今度はいつ会おうか」「君の恋人は元気か?」などと小話を始め、ようやく帰途に就けるのは、「じゃあ、私、帰るね」と言い出してから30分後、なんてのもしょっちゅうです。

さらに、夏場は結構辛いです。
女性とする時は良いのですが、問題は男性とベソをする時です。
スペインの男性の中には、ゴワゴワの髭を生やしている人もたくさんいます。デブもいます。そんな彼らのほっぺたは、当然、夏場は汗で湿っています。

そのほっぺたに自分の頬を重ね合わせるのですから、正直チクチクします。
今でこそ、気心が知れた人には、
「もぅ、ちゃんとヒゲ剃ってよ!チクチクする。」
と言えますが、スペインに来たばかりの頃は、とてもそんなことは言えず(というか、そもそもスペイン語がまったくできなかった)、かと言って、ベソの直後にほっぺたを拭う訳にもいかず、

((う゛~、ほっぺたを拭きたい。私、肌が弱いのに、かぶれちゃうよ…))
と、心の中で叫んでおりました。

このベソの習慣は、時にはスペイン人ですら、面倒くさいと感じることがあるそうです。それなのに皆、ベソをし続けるから謎です。

スペインには、こんな不思議なことがたくさん存在するのです。次は、どんな不思議に直面するのでしょうか?乞うご期待!

*このコラムで紹介しているエピソードは、日本では“変わった人”といつも言われていた私個人が目にし、感じたことです。もしかしたら、スペインを体験したことのある人の中には、そう感じないこともあるかもしれませんが、そこはどうか、「どうせ変人の言うことだから」目をつぶっていただければ幸いです。
逆に、スペインをまだ体験したことのない人は、是非、私のコラムの真相を確かめに、スペインの地を踏んでいただけたら嬉しいです。
カテゴリー
生活
対象
渡航前
この記事を書いた方
担当者
RYOKO
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記事ID:4258 募集を再開する 編集・更新
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